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癒しの技法の系譜 

今日から島薗先生の以下の本を輪読。今日読んだ第一章はいわば「癒しの技法の系譜」。明治末から大正にかけて、現在と通じるような「癒し」つまり心と体の両方とも面倒を見よう、この二つは切っても切れない関係なのだから、ということを主張した様々の運動を振り返ったもの。
“癒す知”の系譜―科学と宗教のはざま “癒す知”の系譜―科学と宗教のはざま
島薗 進 (2003/03)
吉川弘文館

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僕は今年度のゼミを「心の時代」とか「スピリチュアリティ」とか「オーラの泉」(笑)とかを斜めから見るものの見方を養うためのもの、と宣言したが、癒しの技法が今に始まったことではなく、「歴史は繰り返される」というか、昔から癒しというものは存在したし、それに対する宗教の関わりの度合いが時代と共に変化したことを確認するために、この本を読むことを決めたのだ。
今日の要約担当者はW竹くん、コメンテーターはA根くんとHさん。W竹くんは面倒くさい記述を丁寧に要約してくれたし、コメンテーターの二人も、Hさんは『代替医療』という新書をサクッと読んでくれていたし、A根くんもたくさんの文献を読んで、西山茂先生と同じような結論、要するに大正期の「霊・術系新宗教」の隆盛と1970年代の新新宗教の興隆をパラレルに見る視座を提示してくれた。
代替医療―効果と利用法 代替医療―効果と利用法
蒲原 聖可 (2002/08)
中央公論新社

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神々宿りし都市(まち)―世俗都市の宗教社会学 神々宿りし都市(まち)―世俗都市の宗教社会学
宗教社会学の会 (1999/11)
創元社

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この本のスタートとしては上出来。僕も調子に乗って精神分析(催眠術)の簡略な歴史とかを喋ってしまったが。
精神分析学の誕生―メスメルからフロイトへ 精神分析学の誕生―メスメルからフロイトへ
長井 真理、L.シェルトーク 他 (1987/03)
岩波書店

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時には大切なことをゼミで教える 

今日は森真一さんの本のラスト。要約担当はN山さん、コメンテーターはK沼さんとF田さん。
今日読んだところは「キレる」という現象の背後にある「神聖なる自我の肥大」ともいうべき流れと(換言すれば「人格崇拝」の高まり)、アダルト・チルドレン概念の問題点、そしてコメンテーターのF田さんから出た「ファストフード店でのバイトでの体験」から実際の「マクドナルド化」を考える、という話題が中心にして進んでいった。コメンテーターが参考にしたという本は以下の本。

“児童虐待”の構築―捕獲される家族 “児童虐待”の構築―捕獲される家族
上野 加代子、野村 知二 他 (2003/10)
世界思想社
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知っていますか?アダルト・チルドレン一問一答 知っていますか?アダルト・チルドレン一問一答
斎藤 学 (2002/10)
解放出版社
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F田さんからは「私のバイト先はマクドではなかったので、ここまで徹底したマクドナルド化はされていなかったのですが(笑)」と前振りしつつ、でもベルトコンベアーの一部とならざるを得ないマニュアル化された動きや、客が自分をちゃんとした一人の人間として見ないという状況はやはり感じていたとのこと。
K沼さんはアダルト・チルドレンや虐待についてコメントし、僕も「共依存」概念と倉田真由美の『だめんずうぉ~か~』を例に解説し「あの人、私がいないとダメなのよ」というのが典型的な共依存の台詞ですから、そういう言葉が口の端から出そうになったら要注意、そんな関係は打ち切りなさい。大学で、特にこのゼミでは余計なことばかりではなく、そういう人生で大切なことを学んでもらう予定なんだから、しっかり憶えておくようにと女子学生に対して説教してしまう。
そして「小さいときのトラウマが人生を決めてしまう」という「子供時代教」というか、俗流フロイト主義についても解説(フロイトは幼児期決定論者ではもちろんない。そういう風に俗耳に入りやすくしたのが俗流フロイディアン)。ここら辺は僕の得意分野。
僕の持っている関連書を何冊かまわしたのだけど、熱心に読みふける子が何人かいて、ちょっと先生、心配しちゃいました(笑)。
悪魔を思い出す娘たち―よみがえる性的虐待の「記憶」 悪魔を思い出す娘たち―よみがえる性的虐待の「記憶」
ローレンス ライト (1999/03)
柏書房

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適性検査や性格診断テスト 

今日は森真一さんの本の4章と5章。テーマは、彼が指す広義の「マクドナルド化」。マクドナルド化とは、周知の通りリッツァが提出して社会学の世界を席巻した問題提起的な概念だが、森さんは「感情をコントロールして効率性を求める」という心理学的なテクニックも、これの一部をなすと見て、議論を進めている。
マクドナルド化する社会 マクドナルド化する社会
ジョージ リッツァ (1999/05)
早稲田大学出版部

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5章では、グラムシの「ヘゲモニー論」も援用して(グラムシのヘゲモニー論は、フーコーの「生権力論」と近似の概念だと個人的には思う)、個々人が流動化しつつ合理化を高めようとする現代社会を描こうとしている(が、この章はこの本で一番判りづらいと思う)。要約担当のA部君も、ちょっと5章では困っていたな。

コメンテーターはF原君とO澤Aさん(藤子不二雄Aみたいだな、こういう書きかたすると。もしくは「アンナ・O」か?)だったが、F原君が「元来数値化できないようなことを数値で見せてしまう適性検査とか、内申書とかって問題なんじゃないのか?そしてそういうものが重んじられるようになると学歴の意味が相対的に低下するのではないか」と興味深い指摘をしてくれたので(鋭い!)、就職活動を経験した4年生にこの話題を振ってみる。学歴よりも、コミュニケーション能力とかが重んじられる、本田由紀氏が言う「ハイパー・メリトクラシー」的な雰囲気は学生も感じているようだ。彼女たちの証言によると、出した履歴書の大学名の欄をわざと墨塗りして面接に臨む企業も多いそうだ。なるほどなあ。実体験を語られると面白いものだ。僕は就活の経験もろくにないからね。
O澤さんのコメントは、僕なりにまとめると「かけがえのない自分」というイデオロギーと、「会社の取り替えの利く部分としての私」、という二人の両立はどのようなメカニズムで行われているか、ということだった。replacabilityとirreplacability、これはシビアなことを言うと、会社(ひっくり返して社会といっても良いが)が求める「個性」というのは、会社が求める「ロールプレイ」を演じることのできる「個性」であればよいという身も蓋もない現実がある(これはK浦さんが指摘したことだ。彼女も鋭かった)。
というわけで、O澤さんはゼミ中僕が回した土井隆義さんの本を借りて帰った。
「個性」を煽られる子どもたち―親密圏の変容を考える 「個性」を煽られる子どもたち―親密圏の変容を考える
土井 隆義 (2004/09)
岩波書店

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依存と支配 

今日は森真一氏の本の第2章と3章。
第2章は「高度化する自己コントロール」というタイトルで、現代社会は人々に対して自己コントロールする高い能力を求めており、「キレる」という現象も裏を返せば、その高い要求水準が原因、という主旨(人々が昔に比べて我慢できなくなったのではない、ということだ)。
第3章は「人格崇拝の厳格化」というタイトルで、人々はお互いを「かけがえのない人間」として尊重し合うルールを課されており、それをはみ出してしまうものがそれなりのサンクションを受ける仕組みになっていると説く。
今回は要約がY村さん、コメンテーターがI子さんとK山さんだったが、思いの外みんなから発言が飛び交って、なかなかスリリング(少なくともどうやって導こうか、と考えている僕にとっては)な展開を見せてくれた。何だ、おシャケ(仮名)がいなくてもみんな発言するじゃない(彼女がいないから、その分発言するスペースが空いたのか?ちなみに彼女は今日から教育実習。成功をみんなで祈りましょう)。

特に今回問題になったのは、大平健の『やさしさの精神病理』(岩波新書)で説かれるようなあたらしい「やさしさ」、例を挙げれば、電車で目の前にお年寄りがいるけど、年寄り扱いすると向こうが気分を害するかも知れないし、「けっこうです」と断られると、勇気を振り絞って声を掛けた自分の立場がなくなるから、とりあえず狸寝入り、という行動を取ってしまうような「やさしさ」である。他にも「“やさしさ”から注意できないので、却って空気を読め、という無言のプレッシャーを掛けてしまう」とか(これは僕がOB澤さんの発言に絡めて補足したんだけど)、「集団が「困った人」を作るのだ」という社会心理学的な指摘とか(OB澤さん)、「困った人を出しにマジョリティが団結する」(H沖さん)とか、自分がバイト先とかで受けている扱いを念頭にして、なかなか面白い意見が続出。でも、一番面白かったのはF原さんの「お母さんから「あなたのためを思ってしたのよ」といわれたとき、(その愛情ゆえに)イライラする」という発言。こういうのが本当に手強い「権力」なのだよ、みんな。僕やT先生にフーコーのさわりを教えてもらっておいてよかったよね(笑)。要するに「甘え」の問題とも言えるし、「依存と支配」の問題でもあるよね。
僕も卒論指導で、過剰に教えすぎないように気をつけねば・・・。

やさしさの精神病理 やさしさの精神病理
大平 健 (1995/09)
岩波書店

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