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ゼミの全記録 

京都府立大学文学部国際文化学科 川瀬ゼミ記録

●2010年度
テーマ:「らしさ」の向こう側へ
 国際「文化」学科の最終年度です。そこで、改めて「文化」とは何か、ということを考えてみると、その「掴み所のなさ」が立ち現れてきますが、それでも学者は頑張ってそれを掴もうとしてきました。このゼミでは、主にその「掴み方」を社会学的思考や歴史学的思考から学んでいきたいと思います。そこから、我々が漠然と感じている「○○らしさ」の正体を見ていこうと思います(男らしさ、女らしさ、日本人らしさ、その時代らしさetc.)。その作業のためには、色々なものと比較しつつ、その「特殊性」および他の事例・事象にも通じる「普遍性」を腑分けする必要があります。そのような「眼力」を養いつつ、一つのテーマに絞ることなく、さまざまなジャンルのものを「乱読」したいと思っています。
 なお、後期では主に個人発表を中心にゼミを運営する予定です。
テキスト(予定):
上野千鶴子編『構築主義とは何か』勁草書房、2001年。
栗山茂久編『近代日本の身体感覚』青弓社、2004年。
関根康正編『排除する社会・受容する社会』吉川弘文館、2007年。
伊藤公雄編『マンガのなかの〈他者〉』臨川書店、2008年。
成実弘至編『コスプレ化する社会』せりか書房、2009年。
宮台真司編『「男らしさ」の快楽』勁草書房、2009年。

◇2010年度最終レポート一覧
・現代における若者と音楽の関係
・江戸浅草寺の開帳
・新しい観光の一形態としてのグリーンツーリズム―奈良・京都・滋賀の事例から─
・江戸時代の仲人―『世間仲人気質』を中心とした比較から
・「若者右傾化」論の批判的検討
・聖書から見るキリスト教における女性観─新約聖書・マグダラのマリア編─
・アメリカにおけるイスラーム組織による活動─非イスラーム教徒との相互理解に向けて─
・日本人とスピリチュアリティ─「心のノート」を中心に─
・琵琶湖疏水事業と京都の景観
・慶安三年と宝永二年の伊勢群参
・現代フランスのムスリム移民統合問題にみる「共和国」理念の一考察

●2009年度
授業概要/テーマ:生命・身体の政治学――生命倫理・リプロダクションヘルス&ライツ・宗教性
 本ゼミでは、最近話題となっている生命倫理をめぐる問題系を中心に、それがどのように現在の我々の生命・身体をめぐる「政治学politics」を形作っているかを探ることを目的とする。宗教無き現代、という常套句があるが、実は医療現場など「生命」を扱う現場において広義の「宗教性」が噴出しているのを我々は確認できるだろう。この演習ではそれを確認しつつ、既存の宗教との共通点、差異、ジェンダーの問題などにも切り込んでいく。
 なお、このゼミでは後期において、それぞれが一番興味を持っている文化的事象について調べ、その成果をみんなの前で発表することにしている。4回生諸君は主に卒論のことを、3回生諸君は興味の赴くまま自分で調べていくこと。それをまとめたものが、ゼミの最終レポートとなる。
 なお、この演習は値の張る書籍を多少購入してもらうので、受講者はその覚悟をしておくこと。
講読予定書籍
・荻野美穂『「家族計画」への道』岩波書店、2008年。
・W.ラフルーア『水子』青木書店、2006年。
・上田昌文・渡部麻衣子編『エンハンスメント論争』社会評論社、2008年。
・舘かおる編『テクノ・バイオ・ポリティクス』作品社、2008年。
・高橋都・一ノ瀬正樹編『死生学5』東京大学出版会、2008年。
・T.ノーグレン『中絶と避妊の政治学』青木書店、2008年。
など

◇2009年度最終レポート一覧
(3回生)
・『諸国百物語』から見る近世初期の女性観
・フィールドワークが伝える異文化―ヤノマミ族研究の例を通して
・憑きものからみる日本の神観―犬神を通して―
・古代日本における水銀の重要性
・旅の文化史―昔の巡礼と今の観光
・日本における通信販売の普及―1970~80年代のカタログ雑誌から
・体験をもとめる社会―現代廃墟ブームの考察を通して―
・人々を変えていくモノ―トラウマの考察から―
・古代エジプトから死生観を
・ホスピスから考える終末期医療
・少年犯罪と家庭環境
・御霊の発生
(4回生)
・内山基主筆時代の『少女の友』
・ディズニー・アニメーションとジェンダー―「ムーラン」におけるフェミニズムの危険性―
・明治20年代における君が代の普及
・明治28年のイベントと観光都市京都
・近代の浄土真宗者 清沢満史―精神主義―
・日本における出生前診断―新聞報道からの一考察―
・現代の若者の恋愛・結婚観について―話題の草食系男子を中心に―
・動物供養に見る日本人の動物観

●2008年度
(授業概要/テーマ)
「文化」の読み書き―「文化研究」再考―
 自文化をどのように客観視し、また他文化をどのように記述するかという問題は、広義の「文化研究」においては、青臭いが永遠の課題である(この記述の「政治性」がサイードのオリエンタリズム批判以来問題視されているのは周知の通りである)。
 このゼミでは上記のような問題意識の下、近年に発行された何冊かの「文化研究」(分野は様々)の書籍を輪読し、その「作法」を再考することを目的とする。
 なお、このゼミでは後期において、それぞれが一番興味を持っている文化的事象について調べ、その成果をみんなの前で発表することにしている。4回生諸君 は主に卒論のことを、3回生諸君は興味の赴くまま自分で調べていくこと。それをまとめたものが、ゼミの最終レポートとなる。
 なお、この演習は値の張る書籍を購入してもらうので、受講者はその覚悟をしておくこと。
講読書籍
林香里『「冬ソナ」にハマった私たち』文春新書、2005年。
ジョセフ・ヘニング(空井護訳)『アメリカ文化の日本経験』みすず書房、2005年。
大澤真幸『不可能性の時代』岩波書店、2008年。

◇2008年度最終レポート一覧
(3年生)
・日本国憲法第九条と自衛権・自衛力について
・日本の特徴をもったキリスト教―五島隠れキリシタン―
・05年秋の暴動にみるフランスの郊外問題
・女性ファッション雑誌の比較―赤文字系雑誌とストリート系雑誌のファッションの捉え方の違い―
・近年の少年非行に対する人々の意識とその実態
・日本の教育の変容―困った親はなぜ生まれたか―
(4年生)
・「無宗教」と日本人
・明治期における日本人の対外観と自意識―日本人論を中心に―
・小学校における第3期国定歴史教科書
・岸和田九月祭礼と地域社会
・『宝物集』愛別離苦の解釈にみる平康頼の創意
・京都市観光と外国人観光客
・中絶論争からみるアメリカ社会―アメリカ人の道徳的価値観を探る―
・現代の京都の地蔵盆について
・日本の心理療法―吉本内観を中心に―

●2007年度
(授業概要/テーマ)癒し・スピリチュアリティ再考
「癒し」「スピリチュアリティ(霊性)」という言葉は既に日常語彙として定着し、テレビ番組や書籍においてもが題材となったものを我々は日頃意識するしな いに拘わらず、それを「消費」している現状があろう。このゼミではそのような「癒し」や「スピリチュアリティ」をめぐる昨今の動向を振り返り、それと近接 した分野であるセラピー文化、特に「心理(学)主義」を扱う。
 なお、このゼミでは後期において、それぞれが一番興味を持っている文化的事象について調べ、その成果をみんなの前で発表する。4回生諸君は主に卒論のことを、3回生諸君は興味の赴くまま自分で調べていくこと。それをまとめたものが、最終レポートとなる。
【講読予定書籍】
伊藤雅之他編『スピリチュアリティの社会学』世界思想社、2004年。
島薗進『〈癒す知〉の系譜』吉川弘文館、2003年。
森真一『自己コントロールの檻:感情マネジメント社会の現実』講談社、2000年。など

◇2007年度最終レポート一覧
(3年生)
・戦国・織豊期の都市と人々―イエズス会宣教師の視点から―
・戦隊ヒーローにおける女性―不動の赤と、変化するピンク―
・戦争犯罪の原因
・小学校における歴史教科書の移り変わり―明治から終戦まで―
・現代社会における化粧の意味
・源信の『往生要集』とそれに基づく地獄絵における「地獄」
・アメリカの原理主義
・青年期のアイデンティティ達成に影響を与える日本人の精神性
・『米欧回覧実記』における近代日本人のフランス文化観
・現代の地蔵盆の在り方について―市内の地蔵盆を中心に―
・近代アイルランド人の言語的アイデンティティ
(4年生)
・「世界連邦運動」―その歴史と現状―
・犯罪に見る現代の少年の対人感情・対人関係について
・報道傾向から見る各マスメディアのスポーツに対する価値観の違い―ジダンの頭突き事件とそれを巡る報道からの一考察―
・マンガのなかのジェンダー観
・『春色梅児誉美』以下人情本における人物造形の特徴
・ジャーナリズムの「職業倫理」を模索する―事件報道に見る発達障害―
・近代小学校における洋装化の過程―京都市を例にして―
・「国家神道」の成立と民衆への影響
・日本におけるジャズ言説―70年代から現在まで―

●2006年度
(授業概要/テーマ)近代日本の「セクシュアリティ」「ジェンダー」について
 「セクシュアリティ」とは訳しにくい言葉ですが、性に関わる現象、その人の性的志向性などを広く表す言葉です。「性」というある意味「自然」なものが実 は「文化的」に編まれた観念の塊であることは、これまでの学問が明らかにしてきたとおりです(勿論生物学的な基礎は無視できない重みを持っていて、それが セクシュアリティ研究の大きな課題なのですが)。
 このゼミでは、特に日本の近現代の「セクシュアリティ」「ジェンダー」のありかたを振り返ってみることで、現代を生きる我々自身をreflexiveに考えることを目的とします。
講読書籍
1)『青鞜』『山川菊栄論説集』『与謝野晶子論説集』『伊藤野枝論説集』など、大正期の『青鞜』をめぐる母性・恋愛に関する論争を読み込む
2)セクシュアリティ研究の基礎を入門書で(岩波講座現代社会学『ジェンダーの社会学』『セクシュアリティの社会学』から何本か選んで読む)
3)川村邦光『性家族の誕生』ちくま学芸文庫、2004年。

◇2006年度最終レポート一覧
(3年生)
・オタクについて―「萌え」とは何なのかを中心に―
・サッカーにおける差別・対立・衝突
・少年マンガの中の女性
・京女―ことばにやどる女性像―
・現代ジャーナリズムにおける「客観報道」の落とし穴
・女人禁制の現状とその“伝統”
・カナダ地域における毛皮交易とその影響
(4年生)
・日本における少子化―その背景と対応策について
・近代日本における母役割の重視と性別役割分業観の浸透
・戦略的本質主義としての「改宗」―B.R.アンベードカルの不可触民解放運動と「新仏教」運動―
・Graded Direct Methodと英語教育
・19世紀パリにおける近代消費意識の形成
・『紅一点論』の再考
・「シャーロック・ホームズ」シリーズにおける19世紀ヴィクトリア朝社会階級観
・現代バリ・ヒンドゥー教徒の宗教意識
・「ニート」言説から見る若年層批判の仕組み


●2005年度
(授業概要/テーマ)「植民地」をめぐって-ポストコロニアル
 「ポストコロニアリズム」という言葉をみなさんは聞いたことがあるかも知れないが、宗教学や文化人類学は、その出自を辿れば欧米の「植民地支配」に遡る ことができる。このゼミではサイードが名著『オリエンタリズム』で指摘した「学問」の植民地支配的な性格そのものをも研究対象にして、昨今文化を研究する 際において問題化している事象を検討したい。
講読書籍
1)本橋哲也『ポストコロニアル』岩波書店、2005年。
2)テッサ・モーリス=鈴木『辺境から眺める-アイヌが経験する近代』みすず書房、2000年。
3)鄭暎恵『<民が代>斉唱』岩波書店、2003年。

◇2005年度最終レポート一覧
(3年生)
・出生前診断の現状と問題点―人工妊娠中絶と関連させながら―
・ロックの精神性
・少子化――その背景と対策について
・「近代家族」と日本近代の家族の姿
・ヴァイキングの都市と商業
・B.R.アンベードカルの「不可触民」解放と「新仏教」運動
・世界初の百貨店〈ボン・マルシェ〉の誕生
・声明―近世芸能の母体―
・観光学と京都
・ロスチャイルド家―マイヤー・アムシェル・ロスチャイルドと五人の息子たち
・日本の現代音楽とその変遷―歌謡曲からJポップへ
・忍者の実体と盛衰
(4年生)
・現在のスクールカウンセラー像
・若者支援と若年労働問題
・現在の有田焼産業と十四代金ヶ江三平衛
・中世盛期フィレンツェの病院施設―サンタ・マリア・ヌオヴァ病院―
・越境する外国人売春婦―日本における売買春の背景―
・日本の二輪産業と社会
・摂食障害と痩せをもとめる社会風潮

●2004年度
(授業概要/テーマ)原理主義・終末論・ナショナリズム
 昨今は、「宗教」の側面から民族紛争やテロリズムが語られ、その背後には不気味な終末論が存在するという話をよく聞きます。この演習では、いわゆる原理 主義、そして歴史上現れた終末論に関する研究書を読み、宗教が現代社会に持つ意味について考察しつつ、「9・11」後の世界を考えるきっかけにしたいと思 います。なお、宗教とナショナリズムの関係についての研究書も参考にしたいと思います。
講読書籍
・池内恵『現代アラブの社会思想』講談社現代新書、2002年。
・島薗進『現代宗教の可能性』岩波書店、1997年。
・アントニー・D・スミス『ナショナリズムの生命力』晶文社、1998年。

◇2004年度最終レポート一覧
(3年生)
・二重帝国成立にみるハプスブルク家オーストリア帝国の「民族観」―皇妃エリザベートと比較して―
・日本人の幽霊観
・憑きもの信仰に見られる女性差別
・補陀落渡海にみる日本人の他界観
・六・一五事件を巡る言説と新聞報道
・公的年金を通して見る不安とその要因
・京都のおみやげについて―おみやげの歴史と京都のおみやげの現状―
・アイヌ民族とその神々―人と神の関係性―
・日本における衣服の変遷と女性の歴史
・ギャンブルと社会の関係
・薩摩藩と佐賀藩における朝鮮渡来陶工政策の比較
・名字の歴史とそのおかれかたの推移
(4年生)
・植民地期朝鮮におけるキリスト教の発展と文化擁護運動との関係について
・感情労働―心のこもった接客が労働者にもたらす影響―
・アマルティア・センと権原アプローチ―ベンガル飢饉とグローバリゼーション―
・山本文緒論―『あなたには帰る家がある』に見る女性の結婚観―
・オウム真理教の輪廻観とカルマ理論について
・ベルギーの言語政策 ―フランデレンの誕生と行方―


●2003年度
(授業概要/テーマ)生命倫理の現在
脳死臓器移植、ヒトゲノム、クローン問題、ES細胞など、生命を巡るニュースは毎日のように聞かれます。その技術的な進歩もさることながら、その進歩に「どのように向き合うか」がこれからの課題といえるでしょう。
この演習 では「生命倫理」についての文献を輪読し、理解を深めます。いわゆる「生命倫理学」のみならず、医療社会学、科学哲学、宗教学、死生学の知見からも多くを 学ぶことになるでしょう。この問題は正解もないし、簡単に結論が出せるような代物ではありません。だからこそ、みなさんの積極的な討論を期待します。担当 者がレジュメを作成し、それをもとに議論します。
なお、このゼミではそれぞれが一番興味を持っている文化的事象について調べ、その成果をみんなの前で発表する機会を作りたいと思います(年度末頃)。4回 生諸君は主に卒論のことを、3回生諸君は興味の赴くまま自分で調べていってください。それをまとめたものが最終レポートになります。
講読書籍
・森岡正博『生命学に何ができるか-脳死・フェミニズム・優性思想』勁草書房、2001、\3,800
・林真理『操作される生命-科学的言説の政治学』NTT出版、2002、\2,800

◇2003年度最終レポート一覧
(3年生)
・女はなぜやせようとするのか
・英独聖書の比較 ―ルター訳聖書とティンダル訳聖書―
・宝石療法―ホリスティック医学の視点から
・国境を越える売買春問題 ―東南アジア・日本―
・表現的個人主義と女性
・パックス・ブリタニカにおける対外政策(対日政策を含む)と明治維新期における日本への影響
・経営者から見る『論語』哲学
・夢と認識
・セクシュアリティーの多様性~理想的な社会を求めて~
・一九八〇年代末から一九九〇年代なかばまでのミステリについて―第三の波と虚構の時代―
・養子と里子
(4年生)
・長崎・五島列島福江島におけるカクレキリシタンの現状報告
・カリブクレオールの「声」~ポストコロニアリズムの視点から~
・年少者のための日本語教育・「生活言語」から「学習言語」へ
・江戸時代の艶句の中に見る俗信考
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